■充実した夏休みを■  校長 和田 正利

 オーストラリアに棲息するカササギフエガラス(通称マグパイ)は、ふいに急降下して、空から突然人に襲い掛かることで知られ、地元の人からは「マグパイ・アタック」と呼ばれて恐れられているそうです。このカササギフエガラスに狙われやすい人とそうでない人がいて、狙われやすい人は、いったい何が違うのか。この問題を研究したのは、当時小学3年生のエマちゃんでした。彼女が通っていた小学校の敷地にもカササギフエガラスが住んでおり、学校にやってくる人たちに襲い掛かっていたそうです。そしてある日、観察眼に優れたエマちゃんは、どうもカササギフエガラスが手あたり次第人を襲っているわけではないことに気づき、そこには鳥に狙われやすいなんらかの原因があるはずだと考えました。エマちゃんがこう教師に話したところ、彼女が得意な算数の研究テーマにしてはどうかと勧められたそうです。すっかりその気になったエマちゃんはお母さんの助けを借りてアンケートを作成し、QRコード付きのチラシを配って協力を呼びかけました。これが大反響を呼び、31432件もの回答が集まったそうです。この回答を集計し分析した結果、狙われやすい人の特徴は、薄毛の人、高身長の人ということが分かりました。現在、エマちゃんはこの結果を科学論文とするため、大学教授の助けを借りながら論文作成中とのことです。
 このエピソードには、「自ら課題を見つけ主体性をもって様々な人と協働し自分なりの答え(結論)を見出していく」過程がすべてつまっています。そして、子どもの可能性を信じて支援や後押しをする素敵な大人の姿もたくさんあります。

 予測の難しいこれからの時代を生きていく上で大切な力を子どもたちが身に付けられるよう、子どもの無限の可能性を信じて励まし支え続ける大人でありたいと思います。

 令和6年度も1学期が終了します。「チャレンジ」を合言葉に、どの子も自分らしく一生懸命チャレンジした1学期であったと思います。そしてそのチャレンジをみんなで励まし支え合うことのできた1学期であったと思います。
チャレンジしてうまくできたこと、うまくできなかったこと、試行錯誤したことなどを振り返ってみることが大切で、特にうまくいかなかったことはどうしたらうまくいくのかをよく考えることで自分の考え方や行動の仕方がよりよくなっていくと信じています。

 さて、7月20日から9月1日まで、夏休みに入ります。平素にはできない、夏休みだからこそできるような経験をして、楽しい思い出を一つでも多く作ってほしいと思います。また、何か夢中になれるものを見つけて夏休みの長い期間を利用して挑戦してみるのもいいかもしれません。
 夏休み中、子どもたちが安全で元気に過ごせるよう、夏休みの生活で気をつけることを書いた「夏休みのくらし」を持ち帰ります。「夏休みのくらし」をもとに、お子さんの力や地域の状況に応じて、安全な生活についてご家庭で話し合っていただければ大切なお子さんのかけがえのない命が守られると思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 みんながそろって、最高の笑顔で2学期を迎えられることを願っています。