「手先の器用さ」

                    笠井 修

日本人の手先の器用さは、ドイツ人と同様国際的に認知されています。これが、最近、危うくなってきたとの指摘があります。そこで、現行の小学校学習指導要領では、「理科」「図画工作」「家庭」「総合的な学習の時間」で「ものづくり」に関する教育を行うことになっています。さらに、全ての学習で配慮することも大切で、以下のようなことを教科の学習の中で配慮しています。(国語)文字を丁寧にきちんと書く。(社会)十分に調べてまとめる。(算数)じっくり考え確認しながら問題を解く。(理科)正確に実験しきちんと結果を整理し分かったことをまとめる。など、「自分でつくった体験」や「自分でつくる意欲」を重視して、「日本のものづくりの伝統」の奥の深さを子どもなりに実感させたいと思います。

ご家庭において、日常生活の中で具体的な場面に即し、次のようなことがありましたら、話題にしていただけると有難いです。

〇丁寧にきちんとつくる。

〇粘り強く最後まで仕上げる。

〇できるだけ美しくつくる。

〇手抜きはみっともないと、責任をもってつくる。

〇無駄にするのはもったいないと、材料を大事に使う。

〇チームワークで、協働してつくる。

〇人に言われなくても、よりよいものをつくる工夫・改善をする。

 

さて、手先の器用さ、巧みに指先を使う能力のことを巧緻(こうち)性と言います。巧緻性の発達は、単に指先を巧みに動かせるだけではありません。指先は「出ている脳」とか「第二の脳」などと言われるほど、末梢神経が集中しており、この指先への刺激が脳を刺激していくことになります。この傾向は年齢が低いほどより効果的です。手の機能を充分に使い成長した子どもは、様々な事柄に意欲的に挑戦しようとします。また、出来ないことが出来るようになるまでの根気強さも身に付いていきます。また、四肢を動かすこと・体のリズム・運動能力なども、巧緻性とは密接な関係があります。手先が器用に動く子どもほど「知的好奇心」が旺盛であり、社会性でのコミュニケーション能力も高い傾向にあるとも言われています。

本校の今年度の重点にも掲げています「新しいことにも進んでチャレンジする」「難しいことにも最後までやりきろうとする」「上手くいかなくても前向きな気持ちで取り組む」子どもたちを「ものづくり」の視点からも育てていきたいと思います。

令和六年度に、中国五県造形教育研究大会が長久小も会場となり開催されます。図画工作科の授業を通して、描く・つくる技能だけでなく、発想する・構想する・アイデアを練る・感性を豊かにする…様々な力を付けていけるような子どもの育成を目指して研究を進めていきたいと思います。材料などご家庭にお願いすることもあります。その際にはご理解いただき、ご協力をどうかよろしくお願いいたします。