支え合い・伝え合い・認め合い

                                         笠井 修

 例年より一週間ほど早く二学期がスタートしました。八月下旬は、新型コロナウイルス感染症の影響で欠席が多く拡大を心配していました。しかし、現在は、欠席者もほとんどなく、週末に予定されている校内運動会に向けて準備や練習をしています。運動会では昨年同様、応援合戦はアピールタイムとして、全員が大きな声を出すようなことは少なくしています。競技では接触を少なくしながらでも、身体は十分に動かし表現する内容となっています。

さて、運動会などの行事を通して、本校の教育目標である『支え合い・伝え合い・認め合い』の気持ちを育てていくことを大切にしています。助け合うためには何が必要なのでしょうか。その一つは〝自分の弱さを見せること〟です。プライドが高い人ほど、自分ができることや自分の長所をアピールしがちです。一方、他人に自分の弱さを見せるのは、とても勇気がいります。ほとんどの人は自分の弱さを隠そうとします。弱さを見せると「自分の存在を否定されるのではないか」「関係か崩れるのではないか」といった不安や恐怖がわくからです。だからこそ、少しでも自分をよく見せたいと思ってしまいます。これは、人間が生まれ持った本能かもしれません。しかし、それでは、仲間と助け合う関係を築くのは難しいのです。漫画ワンピースの一場面、ルフィの次のセリフは、そのことを端的に表しています。

ルフィ「何もできねぇから助けてもらうんだ。おれは剣術も使えねぇんだ。航海術ももってねぇし、料理も作れねぇし、ウソもつけねぇ。おれは助けてもらわねぇと生きていけねぇ自信がある!」

このセリフには二つの意味があります。一つはルフィ本人の「自分の弱さを素直に認める強さ」の表現です。だからこそ、彼は仲間の能力を讃えるのです。もう一つは、この言葉を聞いた仲間に沸き起こる力です。このように言われた仲間はどう思うのでしょうか。おそらく、「私がいなければ・・」「私が助けなければ・・」と思うことでしょう。自分の弱さを見せることで、仲間との距離が縮まるのです。そして、弱さを見せた人には、まわりが全力で応えるのです。

では、実際の生活ではどうでしょうか。ただ一方的に弱さを見せればいいわけではありません。弱さを見せた人に対して全力で応えるからこそ、信頼関係ができます。友達から肯定してもらうためにも、自分も友達を肯定する。私たちは、ついつい人の欠点を探してしまいます。これを見付けては「あいつは、ああいうやつだから」と批判したり、「私はあの人よりも優れている」と優越感に浸ったりします。そのような欠点探しをして、それが見つかるたびに人を嫌いになったり、避けていたりしては、仲間はできません。仲間に欠点があれば、その欠点を補えばいいのです。逆に自分に欠点があれば、仲間に補ってもらえばいいのです。活動を通して一人一人の個性を大切にし、支え合い・伝え合い・認め合う集団になるよう支援していきたいと思います。

二学期の行事ですが、大田市連合音楽会は中止となりました。通常の音楽の授業はできますが、ステージ上で発表をするには、練習での換気、密を避ける、飛沫等の対策が難しいためです。そして、十一月十八日に予定されている学習発表も例年のような発表は難しいと考えています。体育館等で、一人一人が大きな声で発表をすることが練習段階で難しいからです。このような状況ですから、各学年の発表については、通常の授業公開で行っている教室での発表を見ていただくようなものになると思います。また、発表のための練習に時間を使うのではなく、各学年で身に付けるべき学習内容をしっかりと定着できるような時間を確保したいと思います。新型コロナウイルス感染症による学校休業や学級閉鎖等が今後も懸念されることから、少しでも学習時間に充てることにご理解いただきますようお願いいたします。